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ハリウッド映画音楽の作り方

音楽、作曲・DTM、映画など。Twitter: @Kenny_s3

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ハリウッド映画音楽の作り方 (♭6編) [Part.2]

ケニーです。

 

前回に引き続き、「ハリウッド映画音楽の作り方」シリーズ第一弾のPart.2。Part.1は、理論面(メロディやハーモニーなど)についてでしたね。

今回も、以下3曲についてのオーケストレーション・打ち込みについて書きます。

 

オーケストレーション・打ち込み

ポイントに絞って書いていきます。

Ex. 1

楽器一覧

木管:フルート【アルペジオ】、クラリネットアルペジオ

金管:ホルン【主旋律・和音】、トランペット【主旋律】、トロンボーン【和音】、チューバ【ベース】

打楽器:シンバル、ゴング、トレイラートム

鍵盤:ピアノ【アルペジオ

弦:ヴァイオリン【アルペジオ、刻み】、ヴィオラ【刻み】、チェロ【刻み】、コントラバス【ベース、刻み】

 

オーケストレーション

このトラック[Ex. 1]はマーベル風を意識して躍動感を出したいので、刻み・アルペジオが重要となってきます。

まずは刻み。

キレが欲しいので、弦楽器たちに主に刻んでもらいます。

その上に、後半は刻み度合い(迫力)を上げるために、小節の頭でトロンボーンにスタッカート、その頻度を増やして(小節頭と3拍目)いきます。

次にアルペジオ

ここにはPart.1でも書いた♭6の音が含まれるので、重要な部分になります。

ヴァイオリンにだけアルペジオの刻みをさせるのでもいいですが、それだと少し乾いた感じがしてしまうのと、重要な部分であるにもかかわらず薄い印象になってしまいます。

ここはユニゾンで、フルート・クラリネット(オクターブ下)にもアルペジオしてもらいましょう。

これでは終わりません!隠し味で入れている楽器があります。ピアノです。

これがあることでもっとキリッとした印象になります。

では、出来上がったアルペジオパートのみをお聴きください。

 

打ち込み

音源に関して、木管金管もEastWestのHollywoodシリーズを使っています。

どちらもすべてパッチとしては「Sus Accent」系のものです。

本当は、音色や奏法ごとにパッチをどんどん読み込んでいきたいところですが、PCのスペックとの相談でこうなっています...。

ただ、こちらのパッチはベロシティを強くするとスタッカートらしい音が出ますので、そこで調整しながら打ち込み。PCに大変やさしい打ち込みとなっております。

 

Ex. 2

楽器一覧

木管:フルート【主旋律】、オーボエ【主旋律】、クラリネット【和音】

打楽器:シンバル

民族ボイス【主旋律】

クワイア【和音】

弦:ヴァイオリン【主旋律】、ヴィオラ【副旋律・和音強化】、チェロ【アルペジオ】、コントラバス【ベース】

 

オーケストレーション

こちらのトラックは荘厳な感じにしたかったので、あまり細かく動くパートはありません。一番細かく動いてるパートがチェロで、アルペジオを担当しています。

オリジナルバージョンには金管は入っていませんが、もう少し厚みが欲しい場合は、ホルンを和音で鳴らしたりも。

以下、ホルンを軽く入れたバージョンです。

ここにハープをチェロとユニゾンで入れてみても、神聖な感じが強まったり。

楽器を入れれば入れるほど豪華になり、厚みも増しますが、上手く入れていかないと透き通った感じがなくなっていくかもしれませんので、お気をつけて。。。

今回はクワイアの質感をある程度残したかったので、あまり楽器数自体は多くしていません。

 

打ち込み

クワイアで使っているのは、Omnipshereのクワイアパッチです。

例によってEastWestのクワイア音源を持ってはいるのですが、重いのでパス!笑。

Omnisphereでも、裏で鳴らす分にはそんなに悪くないです。

民族調ボイスは、これまたEastWestのVoices of Passionのケルティックな女性ボーカルパッチを使っています。声のかすれる感じがうっとうしい場合は、EQでカットしてみるのも良いでしょう。

 

Ex. 3

楽器一覧

木管:ピッコロ【スケール上下】、フルート【スケール上下】、クラリネット【スケール上下】

金管:ホルン【主旋律】、トロンボーン【和音、ベース】、チューバ【ベース】

打楽器:トライアングル、シンバル、ティンパニ、トレイラートム

ハープ【スケール上下】

弦:ヴァイオリン【トレモロ】、ヴィオラ【スタッカート】、チェロ【ベース[オク上]】、コントラバス【ベース】

 

オーケストレーション

Ex. 3は、アドベンチャー・アクション系のトラックということで、何かを予感させていくようなサウンドにしたいです。

トライアングルヴァイオリンのトレモロの合わせ技は結構好きで使います。「何か予感させるような緊張感」をうまく出せます。

打楽器について、、、トレイラートムをティンパニと一緒に鳴らすことで、打楽器の迫力が倍増します。おすすめです。

ティンパニーのみ

トレイラートムを入れたバージョン

 

打ち込み

フルート・クラリネットのかけ上がり・下がりにも、パッチは「Sus Accent」を使ってます...(高スペックPCにしたい...)。

ピッコロもこのパッチだと変になることが多いので、さすがに「Leg Slur Runs」でラン用のパッチを使っています。

トレイラートムは、EastWestのStormdrum 2のものです。

 

 

 以上、Part. 2はここまで。

 「ハリウッド映画音楽の作り方」の第一弾でしたが、いかがでしたでしょうか。

第一弾ということは、反応が良ければ第二弾もあります(?)