【アナライズ】映画「ビューティフル・マインド(原題: A Beautiful Mind)」より
お久しぶりです、ケニーです。
今回も、ハリウッド映画音楽の【アナライズ】です。
取り上げるのは、、、
映画「ビューティフル・マインド(原題: A Beautiful Mind)」より、「再び教壇に(Teaching Mathematics Again)」の一部(以下動画の0:00~0:55)。
作曲家は、ジェームズ・ホーナー氏です。
ホーナー氏が担当したのは、「タイタニック」「アバター」などビッグタイトルの数々。ハートフル・コメディからアクションやホラーまで、とても幅広くサントラを作っていました。
その中でも今回は、実在の天才数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた映画「ビューティフル・マインド」を選びました。ヒューマンドラマ系の映画ではあるものの、音楽単体で聴くと、どこかファンタジーチックなところがあったり。こういった静かだけれど、じんわりと心に広がるような音楽を作るのがホーナー氏は、とても得意ですね。見習いたい...!
以下、自身でパート別に打ち込んでみた音源です(上から、全体、木管金管打楽器、ハープ、弦楽器)。
この曲は、ハープの存在感がとても大きいので、上の音源では単独に分けてみました。
理論
キー:Eリディアン→Aリディアン→Bリディアン
パート:フルート(1st,2nd)、クラリネット、ホルン、シンバル、ウィンドチャイム、トライアングル、グロッケン、ハープ2台、ヴァイオリン(1st, 2nd ,3rd)、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
構成としては、リディアンスケールのオンパレードです。機能というよりは、モーダルに考えているように聴こえます。ただ、EをⅠと考えたときにⅠ→Ⅳ→Ⅴと動いている(転調?)のは興味深いです。
同じようにミニマルな展開を含む感じでリディアンを使っているサントラとして、「WALL-E」の「Define Dancing」があります。ちょっと似てますよね。
主旋律で使わているスケールの音としては主に、「2、3、♯4、5、6」ですね。映画音楽系のオケを作るとき、個人的にはリディアンが出てきたらスケールの「7」の音を使いたくなります。
オーケストレーション
ハープと弦楽器が主役の曲です。豪華に使われた2台のハープは、スケールを上下したり、アルペジオしたり。ハープと弦だけでも曲としては成り立つレベルです。
木管・金管については、主旋律強化のためにホルンとフルート(強弱はmp[メゾ・ピアノ])で1stヴァイオリンとユニゾン。前にも記事で書いたかもしれませんが、ホルンはmp以下の強さで吹くと柔らかい音が鳴るため、金管楽器の中でも木管や弦へ自然と馴染ませやすいです。また、最後の2小節でクラリネットが登場しますが、こういったトリルのような音型はクラリネットによく合いますね。
弦について、1stヴァイオリンが上記のように主旋律、そして3rdがトレモロでスケールを上下し、ハープ(1台目)とユニゾンしています。チェロとコントラバスは、ハープ(2台目)と音型は似ており、同じような構成音でスケール上下、アルペジオしています。
そして打楽器では、ウィンドチャイムを主旋律が入ってくる小節の4分音符前のところから入れてありますね。次の盛り上がりの展開へ向けて入れると、うまくいくことが多いです。手っ取り早くファンタジー感が出せる楽器です。多用するとキラキラしすぎて耳障りにもなります笑(私もやりがちですが...!)。
まとめ
いかがでしょうか。ハリウッド映画音楽にはリディアンスケールがそれはとてもとても多く登場しますが、今回も例に漏れず。
この曲はハープが多用されていました。オケというと、いろんな楽器を使おうとしてしまったり、分散させてしまいがちですが、今回のように一つの楽器にかなり頼ったオーケストレーションも、有りなんだなと感じました。
以上、映画「ビューティフル・マインド(原題: A Beautiful Mind)」より、「再び教壇に(Teaching Mathematics Again)」の一部、でした。