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ハリウッド映画音楽の作り方

音楽、作曲・DTM、映画など。Twitter: @Kenny_s3

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【アナライズ】映画「Godzilla(ゴジラ)」より

 

ハリウッド映画音楽の【アナライズ】です。

取り上げるのは、、、

映画「ゴジラ(2014)」より、「Back to The Ocean」の一部(以下動画の1:51~2:38)。

作曲家は、アレクサンドル・デスプラ氏です。

デスプラ氏は、「真珠の耳飾りの少女」や「ゴーストライター」、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」など、王道ハリウッドとはまた少し違った味を出す音楽を作っています。

今回はストリングスが主体の部分です。

 

以下、自身でパート別に打ち込んでみた音源です(上から、全体、木管、打楽器・ハープ・ピアノなど、弦楽器)。

 ※上記の打ち込み音源にはバスーンが入っていません。音源をアップロードしてから木管パートにバスーンを入れ忘れていることに気づきました...。

理論

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※↑間違えている可能性があります...

パート:木管:[フルート(1st,2nd)、アルトフルート、クラリネット(1st, 2nd)、バスーン] 打楽器系:[ヴィブラフォン、ハープ、ピアノ、サブベース] 弦:[ヴァイオリン(1st, 2nd)、ヴィオラ、チェロ、コントラバス]

この短い音楽の中で、主人公(?)の奥さんと息子がまず再会し、そのすぐ後に奥さんと主人公が再会、つまり再会するたびに毎回少しずつ雰囲気を変えるためなのか、転調が多いです。3小節目の和音で、次の4小節目の転調を予感させます。9小節目でまた転調します。そして、2つ目の再会の瞬間に最後の転調をします。

リディアンスケールを意識しているような箇所が結構出てきたように感じます。再会で抱き合う瞬間に転調を合わせているからだと思いますが、拍子も興味深い変わり方をしています。

また、下行系統のモチーフが各パートでうまく組み合わされています。この下行系のモチーフはゴジラのメインテーマ(以下の動画の0:43あたりから16分音符の弦楽器で入ってきます)を初めとして、この映画のサントラの至るところに出てきます。

そもそも、この下行系のモチーフはどこから来たのでしょうか?おそらく、伊福部昭氏のあの有名なゴジラのオリジナルテーマオマージュだと思われます。

オーケストレーション

基本的に弦楽器が主役の部分です。

木管は弦のモチーフの補助のように、一部で使われています。

金管は一切出てきません。

弦について、ヴァイオリンは長めの音符が多く、細かい動きをほとんどしていません。ビオラとチェロがDivisiされて、内声の動き(上記で述べた主に下行のモチーフ)をほぼ担っています。そして、その8分音符の内声が、ヴァイオリン、ビオラ→チェロへ、低い方へと受け渡されています。

打楽器について、ピアノとヴィブラフォンがこれまた下行系のモチーフで4音を繰り返しています。

主人公とその奥さんの再会の瞬間に向けて、オーケストレーションも「弦→打楽器→木管」と重なって華やかになっていきます。

まとめ

あまり派手な部分ではないですが、こういう部分でも細かい手法が隠れているものです。ストリングスの内声の旋律の受け渡し方などは、かなり参考になるかと思います。

以上、映画「ゴジラ(2014)」より、「Back to The Ocean」の一部でした。