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ハリウッド映画音楽の作り方

音楽、作曲・DTM、映画など。Twitter: @Kenny_s3

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【アナライズ】映画「ナイト ミュージアム」より

 

ハリウッド映画音楽の【アナライズ】です。

取り上げるのは、、、

映画「ナイト ミュージアム (原題: Night at the Museum)」より、「Full House」の一部(以下動画の0:00~0:45)。

作曲家は、あの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の音楽で有名なアラン・シルヴェストリ氏です。

 

以下、自身でパート別に打ち込んでみた音源です(上から、全体、木管金管、打楽器・ハープ・ピアノなど、弦楽器)。

 ※グロッケンのパートは、実際の音源ではチェレスタの可能性もあります。

理論 

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パート:木管:[フルート(1st,2nd)、アルトフルート、オーボエ(1st,2nd)、クラリネット(1st, 2nd)、バスクラリネットバスーン(1st,2nd)、コントラバスーン] 金管:[ホルン、トランペット、トロンボーンバストロンボーン、チューバ] 打楽器系:[ティンパニ、シンバル、グロッケン、ハープ、ピアノ] 弦:[ヴァイオリン(1st, 2nd)、ヴィオラ、チェロ、コントラバス]

Aパートについて。最初にsus2やsus4で入るのは、アラン・シルヴェストリ氏の一つの特徴であるように思います(「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のサントラにもそういった部分があったかと)。

その後Bパートでは、バスがA→G→F→Eと下がってきて、EとF間を行き来します。このC/EとFの行き来(Ⅰ/Ⅲ↔Ⅳ)は本当に様々なジャンルでよく使われます。Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの第2転回形は、このようにバスをステップ(階段状)の動きにする際、とても有用です。

Cパートでは、キーCのⅣと考えられなくもないですが、音の使い方としてFリディアンの方がしっくりきます。そして半音下であるEリディアンに最後は落ち着きます。この転調は、ハリウッドの映画音楽でとてもよく出てきますね。

 

オーケストレーション

最初Aパートで、弦楽器ノンヴィブラートで入ってきます。sus系の和音とよく合い、ドライな印象を与えます。

Bパートからはヴィブラートがしっかり入ってウェットな印象に。ヴァイオリンとホルンがユニゾン主旋律を成しています。

聴こえづらいですが、パートBから入ってくる木管楽器も主旋律を一部、そしてその対旋律も担っています。

そして7小節目からやっとホルン以外の金管楽器和音を支える役割で入ってきます。パートCのFM7において、根音とM7の音を短2度になるボイシングでホルンを付けるのは、ETのテーマのジョン・ウィリアムズ氏もよく使っています。

最後のEリディアンの部分のフルートは、またもや他のパートに埋もれて聴こえづらいですが、Eリディアンを特徴づける音をうまく使って和音に飾りをつけています。

 

まとめ

凝った転調や和音は特に使われていませんが、王道なハリウッド感のあるオーケストレーションのとても良い例だと思います。

以上、映画「ナイト ミュージアム (原題: Night at the Museum)」より、「Full House」の一部でした。